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Go West ! ルート66 の旅 7/8 <ニューメキシコ州> [>route 66]

 ルート66の旅、7回目はニューメキシコ州を紹介します。テキサス州からニューメキシコ州に入るとツゥクムカリという町に出会います。その後の町サンタ・ロサの先、旧ルート66は、ニューメキシコ州で2つのルートにわかれます。


1937年より前のルート:

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ルート66が企画されたときは、サンタ・ロサを通り過ぎると北に向かい、山を越えサンタ・フェに向かいました。そしてサンタ・フェを抜けると南に下りアルバカーキに到着します。アルバカーキからはまた西に向かって進みます。山をいくつも越えギャラップを通りアリゾナ州に入るのです。北側に大きく迂回するルート66。この道を作る頃は土木建築技術が発達していなかったので険しい山を回避しながら道を建設していったのでしょう。

1937年以降のルート:

しばらくすると、アルバカーキの東にある山々を通り抜けるルートが造られ、ルート66は、時間にして4時間短縮することになりました。サンタ・ロサから北ルートを通ることなくほぼ西に向かって道は延び、サンタ・フェを通ることなくアルバカーキに到着するのです。このルートができたおかで旅行者は大陸横断がかなり楽になったはずです。

 

今回は、古いルートを紹介します。1937年以前の北に大きく迂回するルートです。サンタ・ロサの先では、ちょっとだけ寄り道をしてニューメキシコ州のラス・ベガスにも寄ってみます。

 

Blue Swarrow Motel

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テキサスとの州境の町グレンリオはとても寂しいところでした。グレンリオを通り過ぎ、しばらく走ると、久しぶりに町に到着します。ツゥクムカリ(Tucumcari)という町です。町といってもテキサス州のアマリロに比べるとかなり小さいです。でもここには、町としての最低限の店と宿泊施設、いくつものガソリンスタンドがあるのです。そして右の写真のようなノスタルジックなモーテルが沢山ある町として知られています。

ツゥクムカリに到着すると、この町は典型的なルート66の町であるということを理解しました。旧道沿いにはカメラマンやデザイナーだったら興奮するほど沢山の「古き良きアメリカ」の町が残っているのです。60年代のモーテル、サイン、ダイナー、ガソリンスタンド、夜になるとネオンが美しく、まるで60年代にタイプスリップしてしまったのではないかと思えるほどノスタルジックな世界です。

ブルー・スワロー・モーテルは、そんな町にありました。ルート66を紹介している本や雑誌にはこのモーテルのネオンが必ずといっていいほど載っています。ルート66の代表的なポイントなのです。

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 実際に行ってみると、かなりくたびれた建物ではありますが、建設当時の面影を残しつつ、とても素敵なデザインにおおくの旅行者はうっとりするのではないでしょうか。部屋は狭いのですが、ルート66を旅する人ならば是非宿泊してみたいモーテルです。ここは、治安が悪くないので宿泊しても大丈夫だそうです。

ツゥクムカリの南を走る州間高速沿いには、全米チェーンのモーテル群、最新式のガソリンスタンドがたくさんあります。勿論チェーン店化したファーストフード店、レストランが軒を並べているのです。

町は完全に2分化され、栄えているのは南の新しい町です。かつて繁栄した旧ルート66の町は現在どんどん寂れて行っています。町の遺構は文化的な価値を見いだされず、どんどん破壊されています。私のような旅行者にとってこれら古き良きアメリカの遺産は大切にして欲しいのですが、産業としてなりたたないのでしょう。確かに私も懐かしいモーテルに泊まらず、新しくできたホテルに泊まってしまっています。この矛盾がルート66の全てを物語っています。人が便利を追求し、心が豊かだった頃を忘れてしまっているのです。
そんな矛盾を感じたツゥクムカリの町でした。

 

Rt 66 Restaurant

ツゥクムカリを過ぎると、道は上り道となりだんだん標高が上がっていきます。そして、その先には大高原地帯となります。高原の入り口付近に広がっているのがかわいらしい町サンタ・ロサ(Santa Rosa)です。サンタ・ロサもツゥクムカリのように古き良きルート66の面影を強く残している場所です。60年代のデザインが多数残されていて、何とも言えないほのぼのとした光景がそこにはありました。ルート66レストランもそのひとつです。

 

Club Cafe

ツゥクムカリ程ではないですが、この町も古い物は壊されていっています。かつて旅行者や地元の若者で賑わったであろうカフェがありました。しかし、残念ながら閉店しています。この遺構もいつまで残っているのか心配です。

 

Oasis Motel

現在も営業中のルート66らしいモーテルです。ツゥクムカリから西、カリフォルニアの手前あたりまでのルート66周辺にあるロードサイド・アトラクションのデザインは、ツゥクムカリ以東のデザインと異なります。ちょっと明るい色使いとPOPな印象が強くなります。メキシコの影響や西海岸の影響があるのだと思います。オアシスホテルのデザインもそういった影響を受けたこのあたり特有のものでした。

 

サンタ・ロサは、ルート66観光では軽視されがちですが、実は見所がたくさんあります。スケジュールではサンタ・ロサ観光の時間をゆっくりとっておいてください。

 

さて、ここから、高原地帯に入ります。新しいルート66と州間高速40号線は、西に進み、一気に山脈を越えアルバカーキを目指します。サンタ・ロサからアルバカーキまで数時間、町はありません。

今回は、この新しいルートではなく、旧道を走ります。サンタ・ロサをすぎ84号線を北上します。このあたりは草原です。遠くに山が見えますが360度大パノラマが楽しめます。ルート66は、かつてのサンタ・フェ・トレイルを通りサンタ・フェに向かうのですが、私たちはちょっとだけルート66を逸れ、ニューメキシコ州、ラス・ベガスに寄ってみました。

 

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Las Vegas Station

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有名なラス・ベガスはネバダ州にあります。同名ですが小さくどこか懐かしい町ラス・ベガスはニューメキシコ州にポツンとあります。旧ルート66から車で10分程北に向かうと現れるのですが、同じ名前でも印象があまりに違うのでとても違和感があります。

この町は、かつてサンタ・フェ・トレイルの宿場町として栄えました。鉄道も開通しかなり賑わったそうです。現在も使われている駅舎はとても洒落たデザインです。町外れに位置していますが、駅からダウンタウンまでは歩いて散策できるようになっています。この町は結構人が住んでいますが町自体は1900年前後のままです。でも古くはないのです。住人は石作りの古い町並みをきちんとメンテナンスして維持しているのだと思います。こういった文化はヨーロッパの都市と似ているような気がしました。

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ラス・ベガスのダウンタウン

Hotel Castañeda

1800年代後半になるとフレッド・ハービィという人が、ラス・ベガス駅の隣に洒落たホテルを建てました。ハービィは、鉄道網の発達により、大陸横断が東海岸の富裕層に流行ると感じ、中西部から西海岸の都市にハービィ・ハウスと呼ばれる高級ホテルを建築していきました。当時は、東海岸から西海岸までの大陸横断にはとても時間がかかりました。鉄道は夜行ではなく夜は駅に止まり、乗客は駅近くのホテルに宿泊したのです。しかしその頃の西部開拓時代の町は不潔で安心できるホテルもありませんでした。ハービィは、主要駅に有名デザイナーを採用した清潔で豪華なホテルを建設し、地元で美しい女性のみを採用しサービスを始めたのです。このビジネスは大成功します。東海岸からお金持ちが押し寄せ、ハービィ・ハウスが建っている駅周辺はとても潤ったそうです。このハービィ・ハウスで働く女性達の物語は、「ハービィ・ガールズ」というタイトルで映画化され主演はジュディ・ガーランドでした。

 

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 一世風靡したハービィ・ハウスですが、現在でも営業しているのは、グランド・キャニオンのエル・トバとサンタ・フェのラ・フォンダくらいです。殆どは建物自体が壊されてしまいました。

ラス・ベガスには営業はしていませんが、このハービィ・ハウスが残っています。ホテル・カスタネーダです。ラス・ベガス駅の隣にある立派な建物です。今でも営業が再開できそうな感じですが、入り口には板が打ち付けられ中には入れませんでした。

近年、アメリカではハービィ・ハウスの人気がでてきているそうで、ウィリアムスにあったハービィ・ハウスは修復されレストランとしてオープンしたそうです。このカスタネーダもいつの日か、再オープンして欲しいと強く思いました。


Santa Fe Old Town

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旧ルート66は、サンタ・フェの町の南側を通りアルバカーキを目指します。皆さんもサンタ・フェという町の名前を聞いたことがあると思います。ここは、アメリカができる遙か前からネイティブが町を築いていた場所です。プエブロ風と言われる土でできた建物があり、独特の文化を守っていることで有名です。

私がサンタ・フェについて知っているのは、このくらいでした。きっと京都のように、町は発展しているのでしょうが場所によっては昔の建物が残っているんだろうと思っていました。しかし、サンタ・フェに行ってみて私のイメージは簡単に壊されたのです。

サンタ・フェの町に入ると、赤土で塗られたプエブロ風の建物(アドビ建築)が見えてきます。この建築スタイルは土を手で塗って壁にしているので直線がありません。全ての壁や屋根は微妙にゆがんでいるのです。きっと自然界にはない直線がこの町にはないので落ち着けるのだと思います。

暖かみのある建物に感動し、早く町の中心に行ってみたいという衝動にかられるのですが、車を走らせるとびっくりします。町の全ての建物がアドビ建築なのです!店、レストラン、ホテル、ガソリンスタンド、個人の家々...全てが統一されているのでした。これは、本当に驚きました。

日本の歴史的な都市では、確かにポツポツと歴史のある建物が残っていてそこが観光スポットになっています。しかしほとんどの建物は、鉄筋コンクリートだったりモルタルだったりの建物です。1階建てもあれば高層建築もあります。

サンタ・フェは、町全てがアドビ建築で、高さ制限もあるようです。私は、車で町中や住宅地を走り回りましたが、全ての建物がアドビで、別の方式で建てられた建築物は見つけられませんでした。きっとサンタ・フェの町がきちんと都市計画を策定していて住人はそれを遵守しているのでしょう。

新しい建物は一番高いもので5階建がありました。これはきっと鉄筋で作られています。しかし、外観はアドビなのです。ここまでがんばって外観を作り上げている行政には感心させれました。

当然、世界中から観光客が押しよせ、町はものすごい数の観光客です。地方都市の観光ビジネスのお手本のような町ですが、よく考えてみると、ヨーロッパの都市も、サンタ・フェと同じように歴史と景観を大切にしているんだと気づきました。そういう町には人も集まる、と。

京都を代表する日本のいけてない観光地の役人達も少しはサンタ・フェを見習って欲しいと思いました。

 

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Albuqurque Old Town

サンタ・フェから南に進むと、アルバカーキに到着します。アルバカーキはニューメキシコ州で一番大きな町です。ルート66を辿ると、オクラホマ・シティ以来の大きな町となります。ここは、天災がない町として有名です。1年中晴れていて、竜巻や地震がないのです。かつては原爆の開発などが行われていましたが、現在は映画産業とIT産業の町に生まれ変わっています。ルート66沿いには、60年代のアルバカーキの町が復元され、若者で賑わっています。ここにはバーもあり洒落たレストラン、高級ホテルもあります。

この先の次の大きな町は、はるか先のロサンゼルスです。

 

Diary from the Traveler -----

オクラホマ・シティを過ぎ、テキサス州、ニューメキシコ州と走ってくると、アメリカらしい360度の大パノラマが楽しめます。そして、ルート66沿いには小さな町がポツポツと点在しています。そこには、小さいながら町独自の文化や風習があることがわかります。訪れる町自体の小ささは変わらないのですが、西に行くに従い町に明るさがあるように感じました。おそらく日差しや土の色の関係もあるのでしょうが、町の建物やサインのデザインがPOPになっていき、住んでいる人々もネイティブやメキシカンの血が入り、我々日本人にはどこかホッとするのかもしれません。

ニューメキシコ州は、走ってみると旅行者には楽しめる地であることがわかりました。高原地帯のパノラマ、何でも揃うアルバカーキ、夢の中に来たようなサンタ・フェ、西部劇のような町、ゴーストタウン、プエブロ文化....

誕生してまだ日が浅いアメリカなのに、建国以前からある文化がニューメキシコ州を彩っています。そして、その文化が移民にも受け継がれているのです。

 

さて、最終回となる次回は、サンタ・ロサまで戻り、1937年以降のルート66を走ります。アルバカーキを通り、ニューメキシコ州とアリゾナ州の州境にあるギャラップまでを旅します。

お楽しみに!


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Zunko

お久しぶりに訪問してみたら。。こんな本になってしまう位の素晴らしいルート66に関して書かれていらっしゃったのですね。。。こちらが7/8 であるなら、もう一つあると言う事なのですよね。。。物凄く楽しみにしています。私が、ノースカロライナからサンディエゴに車で移動した時に、ルート66を通りたいと言う願望が強かったのですが、余り参考になる本がなかったので、断念しました。。このブログで書かれている事を参考にさせて戴き、少しずつルート66を走って行きたいと思いました。有難うございます。
by Zunko (2010-02-03 16:29) 

かおり

こちらのラス・ベガスは可愛らしい街ですね^^
建物の色使いがとても魅力的です!
そして、ベアトラックさんのブログでおなじみの景色も
こうして遠景で観るとまた違った印象になりますね♪
by かおり (2010-02-08 11:47) 

SAKANAKANE

街(建物)が、とても魅力的に思えますね。
サンタ・フェは、名前しか知りませんでしたが、こういう町の有り方や、ヨーロッパの古い街並みなんかは、確かに日本には無い要素ですよね。
日本が観光大国になれないのは、その辺も有るんでしょうね。
by SAKANAKANE (2010-02-11 10:23) 

Ai

ご訪問ありがとございました^^
ラス・べガス、建物が可愛いですね。
色合いも面白いです・v・
by Ai (2010-02-15 19:20) 

Traveler

Zunkoさん、こんにちは。
今回のルート66シリーズは次回のニューメキシコ州で終了です。
その先は既に行っているので過去記事をご覧下さい。

by Traveler (2010-02-15 22:40) 

Traveler

かおりさん、こんにちは。
もうひとつのラスベガス、あまり知られていませんが素敵な町でしたよ。
by Traveler (2010-02-15 22:41) 

Traveler

SAKANAKANEさん、こんにちは。
そうですねー。まずは基本から変えないと日本は観光国にはなれませんね。国交省のお役人がいくらがんばっても難しいとサンタフェで思いました。
by Traveler (2010-02-15 22:43) 

Traveler

Aiさん、こんにちは。
このあたりは独特の色を持っていますね。
地元でとれる石や土を使っているからですね。

by Traveler (2010-02-15 22:43) 

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