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アメリカ コーヒー事情 [united states]

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ここ数年、日本ではコーヒーのサードウェーブが到来して、ハイクオリティ・コーヒーがブームとなりつつあります。2015年に入りブルーボトル・コーヒーやコーヒービーンが東京店をオープンし、連日行列となっています。このブーム、元はといえばアメリカが発祥です。今回はコーヒーブームに乗って話題となっているアメリカのコーヒー店を紹介します。

本題に入る前に、コーヒーのウェーブについて簡単に記しておきます。
1)ファースト・ウェーブ
19世紀後半にコーヒー豆が大量生産され大量流通が可能になった時代を指します。アメリカで一般家庭にコーヒーが普及した時期です。
2)セカンド・ウェーブ
1970年代前後。深い焙煎の豆をつかったシアトル系コーヒーが登場した時代です。スターバックスやコーヒービーンなどが創業した時代と重なります。このころアメリカではまだ薄いコーヒーが一般的でした。
3)サード・ウェーブ
高品質な豆によるおいしいコーヒーを求めるファンに向けて一部のコーヒーショップが提供を開始した2000年前後からを指します。ブルーボトルやフォーバレルが代表的な店舗です。

スターバックス コーヒー
皆さんご存知の大型チェーン店。元は1971年にシアトルで開業したコーヒー豆の焙煎店です。1987年にビジネスマンのハワード・シュルツに買収され、一気に世界的なコーヒーブームを巻き起こし現在に至ります。シアトルではコーヒー好きな店員が生豆を丁寧に焙煎して、コーヒー好きな客にエスプレッソやラテを提供していたのですが、現在では世界60カ国に18000店以上も展開しています。
日本では好調なスターバックスですが、実は本国アメリカでは近年苦戦が続いています。それは新たなコーヒー店の台頭がめざましいからです。スターバックスがバリスタの育成を諦め全自動マシーンを導入してから、コーヒー好きは別の店に足を運ぶことが多くなりました。今、スターバックスを愛する人たちはホイップクリームが乗ったフレーバーコーヒーやサンドイッチをカッコよく食べたい若者たちです。
アメリカに行くとどこにでもスターバックスがあるので私はよく利用します。ただ、かつてスターバックスがアメリカ全土にオープンした頃のワクワク感や素晴らしいサービスはなく、限りなくマクドナルドに近いファーストフード店になってしまったのは残念に思います。

ザ コーヒービーン & ティーリーフ
1963年にロサンゼルス郊外のブレントウッドで創業したカリフォルニア・スタイルのカフェ。ハリウッドスターに愛されていて、ここのコーヒーしか飲まないと公言するセレブが多数います。
現在は、ファンドに買収されてしまいファンドが運営しています。西海岸ではよく見かけますが、東海岸では店舗数が少なく、現在急速に全米で店舗拡大を進めています。アメリカ以外では20カ国に進出しており、2015年5月に東京店をオープン(フランチャイジーは「銀だこ」のホットランド)し、イオンを中心に出店を進めています。
アメリカのコーヒービーンに行くと、スターバックスとは違ったカリフォルニアの雰囲気を感じます。店内はよりカジュアルでコージーな雰囲気が漂い、学生たちは無料wifiを使ってのんびりと過ごしています。そしてコーヒーは深煎りしすぎない豆を使用していて飲みやすいのが特長です。フレバーコーヒーやティーも充実していてアメリカ人には好評です。コーヒービーンはバリスタの育成に力を入れていて、現在も高価なエスプレッソマシーンを全店に導入し、一杯一杯丁寧に淹れています。当然、バリスタによる味のムラがあり、作るのに時間がかかりますが、私が訪れた限りだと、ニューヨーク店だろうがサンフランシスコ店だろうが満足のいく味でした。きっとかなり厳しいバリスタの育成システムがあるのだと思います。スターバックスが諦めたクオリティ・コントロールをしっかり行っているようです。チェーン店型でどこにでもあるコーヒー・でしたら、コーヒービーンを選択する人がおおいのも納得できます。

ブルーボトル
ジェームス・フリーマンが日本の喫茶店文化に影響を受けてサンフランシスコに作った小さなコーヒーショップです。現在も、ニューヨーク、ロサンゼルスに数店舗出している小さなチェーン店ですが、東京に進出したことで、日本ではスターバックス級のメジャーなイメージが定着しています。これは巧みなマーケティング戦略の賜物です。おそらくブルーボトルの知名度は日本が一番高いと思います。
日本ではちょっと間違った商売となっているのが否めません。東京でここに行くのなら純喫茶に行けばいいと思うのは私だけでしょうか。
この店はシングル・オリジンというシンプルで奥の深い豆を扱います。世界的に供給量の少ない生豆を焙煎し、日本の喫茶店のようにお客さんの目の前でコーヒーフィルターを使って淹れるのです。バリスタはかなり厳しい教育を受けます。この教育現場はいくつかの店では見えるようになっていて、先生に厳しい指導を受けている生徒を目の当たりにできます。
当然、コーヒーの味は素晴らしく、目の前で淹れたてのコーヒーを味わうという体験がとても大きな価値を生み出します。一度ブルーボトルに足を運ぶと、また行きたくなる"コーヒー体験"がブルーボトルの特徴となっています。

フォーバレル・コーヒー
サンフランシスコで4店舗を運営する小さなコーヒーショップですが、サード・ウェーブの目玉と言える人気店です。ある一人のコーヒー好きが自分で豆を探し、焙煎し、販売しています。質にこだわりむやみに利益を追求しないことが話題となり、サンフランシスコに行ったらフォーバレルに行くべきだというアメリカ人がおおくいます。さらにはフォーバレルを飲みにサンスランシスコに行く強者も存在します。
コーヒーはとても丁寧に管理され、味も素晴らしいです。ただ、ここでコーヒーを飲みながらのんびりと過ごすといったことはできません。店内にはwifiも電源もありません。どちらかというとコーヒーと真剣に向き合うタイプのお店です。

ラ・ミル
ニューヨークタイムスの全米ベストコーヒーの4位にランクインされた名店。でも店舗はロサンゼルスに1店しかありません。オーナーのクレイグは、学生時代にドイツ製の小さな焙煎機を買い、ひとりでロースターに向かい自分がベストと思えるコーヒーを作りました。そして自分で営業を重ね、近所のカフェに置いてもらいました。しばらくすると、このコーヒーの味が話題となり、たくさんのレストランからラ・ミルの豆を扱いたいという問い合わせが来るようになりました。クレイグは、自分ができる範囲で生産量を増やしました。そんな時カフェのないシルバーレイクという街に店を出さないかと誘われます。卸売ではなく自分のブランド名を掲げたカフェを出そうと決めたクレイグは、2億円をかけ素晴らしい内装と機材を揃えたブティックをオープンしました。この素晴らしいカフェは瞬く間に話題となり、現在に至ります。
ここのコーヒーは、クレイグが自らクオリティ管理を行っている豆が命です。深煎りせず微妙なロースティングを行うことで常にベストな味を作り出すのは、マジックのようです。本人は、ロースティングはダイヤモンドのカッティング作業に似ていると言っていますが、かなり繊細な焙煎によりコーヒーが作られていることを実感できます。
残念なのは、店舗がシルバーレイクというちょっと不便なところにしかないことです。現在、ロサンゼルス空港にも店舗がありますが、ここはラミルのスタッフが配置されていないようです。ラミルのコーヒーは、全米のフォーシーズンズ・ホテルやSLSホテル、ラスベガスのシティセンターやサウスビーチのホテルなどでも扱っているそうですので、そこで楽しむこともできます。

アメリカに行くと、街にはスタバだけでなく様々なコーヒー店があることに気づくでしょう。これらコーヒー店にはそれぞれポリシーがあり、その店に固定客がついているのです。どこのコーヒーが美味しいとか、あの店の味が下がった、みたいな会話が普通になされているのを聞くと、20年前のアメリカとは時代が変わったなあと感じます。当時は巷には1杯1ドルの透き通った薄いコーヒーしかなかったのです。

皆さんもアメリカに行ったら是非、サードウェーブを楽しんでみてください。
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コメント 2

YAP

薄い薄い「アメリカンコーヒー」は、過去のものになりつつあるんですかね?
by YAP (2015-09-20 06:55) 

Traveler

YAPさん、こんにちは。
アメリカンコーヒーはまだまだ現役ですよ。
NYやLAではなくちょっと郊外に行くとあるダイナーなどでは、相変わらず透き通ったコーヒーがでてきます。もちろん飲み放題です。
アメリカ中西部では、今でもスタバはありません。80年代までの懐かしいアメリカのコーヒーは全米で人気なんです。
by Traveler (2015-09-22 12:23) 

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