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Go West ! ルート66 の旅 5/8 <オクラホマ州> [>route 66]


前回に続き、ルート66の旅を記します。今回はオクラホマ州最大の都市オクラホマ・シティからテキサス州との州境までお伝えしていこうと思います。

 

<オクラホマ・シティ>

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オクラホマ・シティにはいくつも見所があります。ここでは、オクラホマ・シティをまとめて紹介しようと思います。まず、博物館ですがNational Cowboy and Western Heritage MuseumとScience Museum of Oklahomaがあります。前者はここオクラホマの代名詞とも言えるカウボーイの博物館です。町中にはウェスタン衣装に身を包んだ人々が歩いていて、なんだか別の国に来たように感じます。やはり牧畜が盛んで世界最大の市場があるのに頷けます。そして、その市場があるのがストックヤード・シティです。ここにいくと町中が何とも言えない牛の匂いで満ちています。そこには、ステーキ・ハウス、ウェスタンの道具屋さん、ウェスタン衣装の店が軒を並べています。私は、ここのステーキがとても好きです。日本ではなかなか食べることのできないアメリカンなステーキを安く食べることができます。

街のダウンタウンには、ブリック・シティというかつての倉庫街をリノベートした観光地があります。ここにはホテルもあり、観光の拠点にするには便利です。ルート66上には、残念ながら昔ながらの建物はなく、全て壊され作り替えられてしまっています。これは、大都市に行くとどこも同じなので仕方がありません。

 

Big 8 Motel

オクラホマ・シティを出てカリフォルニア州のバーストゥまでは、延々と州間高速44号線と平行してルート66は走ります。途中、高速に塗りつぶされているところもありますが、オクラホマ州内は、見事に高速の脇に旧道が残っています。オクラホマ・シティからのんびり走ること約1時間、2~3の小さな街を越えるとエル・レノ(El Reno)という街に入ります。ここには、ルート66では有名なビッグ・エイト・モーテルがありました。モーテルの看板や建物がノスタルジックで人気があったのですが、映画「レインマン」でトム・クルーズとダスティン・ホフマンが泊まった宿として一躍有名になり、ルート66ファンでなくても、このモーテルに訪れるようになったそうです。しかし数年前に経営者が変わり簡単に名前も変えてしまったため、有名なサインはなくなってしまいました。アメリカ人はドライというか無神経というか、こうして数々のルート66の観光ポイントが失われていくのです。とても残念なことです。ということで、今、エル・レノに行ってもビッグ・エイト・モーテルは、見られません。

その代わり、エル・レノには歴史保存地区とOasis Drive Inという、60年代を思わせる見所があります。


Lucille's Gas Station

ルート66を走るとエル・レノより西には牧場が広がり、街がたまに現れます。その街もだんだん小さくなっていきます。そして街と街の間隔もだんだん広がっていきます。大都市オクラホマ・シティから離れると、人口が減っていくのがとてもよくわかります。エル・レノからさらに1時間ほど、のんびりと旧道を走ったところに、小さな街ハイドロ(Hydro)が出現しました。この街、小さいのですが400世帯が暮らしているそうです。街の入り口にはガソリンスタンド兼コンビニがぽつんと1軒あります。それ以外はなにもない街です。こんな街にも実は教会は3個あるそうです。住人は、熱心にキリスト教を信仰していることがわかります。

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私が、ハイドロの街に着いたのは夜7時です。冬の夜7時は真っ暗です。遠くから見たハイドロの街は、なんとなく明るいところで、家々には光が灯っているのでそこには集落があることはわかるのですが、なんとも寂しい場所でした。街には南北に走るメインストリートがあり、入り口から一番奥まで車で走っても5分もかかりません。でも立派な教会は3つ共に威厳を持って佇んでいました。

そんなハイドロの街の端っこにルーシーズ・ガスステーションがあります。ルート66が賑わっていたころからここにあったそうですが、直ぐ横に高速ができ、車は通過するようになったので客数が激減してしまったそうです。今は、ルート66協会によって歴史的遺産に認定されています。2006年、この建物は、隣町ウェザーフォードのビジネスマンリック・コッチによって買収されました。彼は、ルーシーに敬意を表し建物を補修しました。そして、ウェザーフォードにルーシー・ロードハウスを建て現在も営業しています。こちらは近代的なレストランです。

 

 

Rt 66 Museum

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ウェザーフォードの次はクリントン(Clinton)という中規模の街です。ウェザーフォードは、コダックの工場があり、住人はまあまあいました。ここクリントンは、いったいどんな産業があるのかわかりませんが、車は結構走っていました。「水曜どうでしょう」ファンには、聞き覚えのある街だと思います。どうでしょうがアメリカ横断したとき、ここのベスト・ウェスタンに泊まっていました。

ここには、有名なルート66博物館があります。途中いくつものルート66博物館があるのですが、止まって見学するほどのものはそれほどありませんでした。しかしここは、必見です。比較的新しい建物の中にはルート66にちなむアンティークや看板などが保管されています。それらは、きちんと展示されていて丁寧な解説も付いています。

 

Glancy Motel

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クリントンには、ルート66らしいモーテルが残っています。それがグランシー・モーテルです。この看板がとても美しかったです。立体的で矢印をモチーフにしたデザインは、明らかにルート66上にあるモーテルの記号です。このモーテル、現在も営業中です。冬にもかかわらずほぼ満室でした。

このようなもはや近代芸術といってもいいようなサインは、かつてルート66上に沢山あったそうです。今でも写真集などで見ることができます。しかし、現存し、さらに今も運営されているサインは本当に少なくなってしまったようです。これはとても残念です。このようなサインを見たくて旅をするデザイナーもかなりいるそうです。なんとか看板を残していって欲しいです。

ちなみにこの看板、できてからかなり経っているようで、GLANCYと記してあるサインの中はツバメの巣になっていました。たくさんのツバメがこの中にいて鳴いています。近づくとかなりの数のツバメが飛び出してくるのです。駆除するわけにもいかずほったらかしているのでしょうが、それもアメリカの田舎の姿なんだなあと感じました。日本だったら必ず駆除しますよね。

 

Rt66 Museum

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クリントンを出ると、もう景色は360度平原です。何もありません。ただひたすら道が西に向かってのびています。そんな道をただ漠然と走るとエルク・シティ(Elk City)に着きます。街ですが、なんだか西部開拓時代の街がそのまま発展したような殺風景な感じがしました。ここは今でも宿場町として機能しているようで、州間高速44号線を走る旅人達が休むためのモーテルが並んでいます。そんな一角にルート66博物館がありました。ここはクリントンのそれとは趣が異なっており、このあたりの街の生活を紹介するための施設です。広大な土地には、開拓時代の街が再現されていて、建物の中には人形がいます(これが怖い!)。明治村みたいな感じだと思っていただけるとわかりやすいかもしれません。かなりの費用をかけて作っていますが、いまひとつインパクトがないのは、アメリカも日本も役所がつくるとこんな感じの中途半端なものになるんだなあと思いました。

 

Courthouse

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エルク・シティの次の街はセイレ(Sayre)です。かなり寂しくなってきました。まるでゴーストタウンのような街です。西部劇が今でも撮影できるのではないかというくらいボロボロです。そんな街に人は暮らしています。ここの見所は、街のハズレにある裁判所です。映画「怒りの葡萄」にも出てきた古い建物です。この町には、これくらいしか立派な建物はありません。きっと何十年も何も変わらない街なのでしょう。寂しいと言うより何も変わらない「保守」と街の人々の「優しさ」が同居しながら、よくこんな僻地で暮らしているなあと感心してしまいました。

街はかなりくたびれているのに、この裁判所はとても立派です。近くに行ってみると色が塗り直されているのがわかりました。果たしてそんなに裁判があるのだろうかと思ってしまいましたが、きっと地元の人たちには自慢の建物なのでしょう。ちなみに犯罪はほとんどおきないそうです。

 

Nothing

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セイレから先は、さらに何もありません。途中、街があったような形跡はあるのですが、建物は崩壊し、街であったのかどうかすらよくわかりません。隣に見えていた州間高速44号線とも距離が出始め、誰もいない旧道を走ることになります。こなたりはかなり寂しいです。この先、何もないのではないかと思いました。何度も引き返して44号線に乗ろうと考えました。それでも頑張って走っていくと、州境の街テキソーラ(Texola)に着きます。ここの町外れにはかつての無法者を閉じ込めた牢屋跡がいまでも残っています。コンクリートに草が絡まった小さな牢獄は、とても気持ちが悪かったです。そしてテキソーラの街も人気がなく気持ちが悪いのです。廃墟となった大型モーテルが点在していますが、営業中のガソリンスタンドやコンビニはありません。でも人が住んでいる気配はするのです。

町外れに州境のサインを発見しました。ここでオクラホマ州は終わりです。

 

Diary from the traveler -----

ルート66を走っていると、本当に何もなくなる場所があります。セントルイスとスプリングフィールド(ミズーリ)の間、オクラホマ州の西側、テキサス州アマリロからニューメキシコ州アルバカーキの間、アルバカーキから西...ただ道が1本西に向かってあるだけなのです。日本ではなかなか見ることができない風景です。でも、これら風景は、全く同じではないのです。ミズーリ州のあたりは、丘陵地帯で、道のアップダウンがわかります。オクラホマ州の西は土地が平らで真っ赤な土です。ニューメキシコ州は、なだらかな隆起があり、標高が高いようで森が消滅します。アリゾナは、ただの真っ平らな土地です。

いったいいつまでこの景色が続くんだろうと飽きてくるのですが、旅を終えるとあの一本道と360地平線がとても懐かしく思うのです。

東から西に巨大なグラデーションを描きながら徐々に変わっていく景色はとても素晴らしく地球を感じることができます。そして地層や土の色から地球が出来てきた長い時間も感じることが出来るのです。

もし、ルート66を旅する機会があれば、是非行く前に簡単な地層や土に関する本を読んでみてください。きっと旅は何倍にも楽しくなるはずです。



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コメント 8

SAKANAKANE

アメリカには行ったコトが無いんですが、こうして記事を拝見すると、今まで知らなかったアメリカの魅力が感じ取れて、行きたくなってしまいました。
by SAKANAKANE (2010-01-17 12:37) 

Traveler

SAKANAKANEさん、nice、コメントありがとうございます。
アメリカの田舎は、費用もかからず本当のアメリカを知ることができます。
日本人がよく行く観光地よりも、田舎のほうが得るものがおおいような気がしました。
by Traveler (2010-01-19 11:59) 

toshi

アメリカの魅力は広大な田舎にある
という話をどこかで聞きました。
by toshi (2010-01-19 14:47) 

COLE

先日はブログ訪問ありがとうございました
アメリカの魅力満載ですね
楽しみがひとつ増えました
by COLE (2010-01-23 23:30) 

Traveler

toshiさん、こんにちは。
アメリカに住んだこともあり、何度も旅していますが、中西部は別のアメリカでした。新しい魅力を知ることが出来た旅です。
by Traveler (2010-01-27 21:25) 

Traveler

COLEさん、こんにちは。
これからもブログを書きますので宜しくお願いします。
by Traveler (2010-01-27 21:27) 

かおり

レインマンに登場したモーテル・・・もったいないですね
おっしゃるようにこういうサインはもはや芸術品と言いたくなります
残してくれればいいのにね^^;
by かおり (2010-02-08 11:32) 

hattanotakatyan

皆様方の歴訪記を見ながらどこで何を見るか何を食べるか何処に泊まるかを計画しております。2014の8月末からイリノイからサンタモニカまで走ります。
by hattanotakatyan (2014-05-12 08:43) 

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