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Go West ! ルート66 の旅 3/8 <ミズーリ州> [>route 66]

前回に続き、ルート66の旅を記します。

今回は、ミズーリ州です。ルート66は、シカゴからロサンゼルスまで全部で8つの州を走り抜けています。イリノイ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州と、まさにアメリカ横断する道路なのです。前回は、始点の州であるイリノイ州を紹介しました。今回は東から2番目の州、ミズーリ州です。ミズーリ州ときいて皆さんはどんなことをイメージしますか?アメリカ人に聞いてもあまりピンとこない人がおおいようです。ミズーリ州を代表する街は、ミシシッピ川沿いに栄えたセントルイス、そしてカンザス州との州境にあるカンザスシティ、そして州の真ん中に位置するスプリングフィールドくらいです。あとは特に大きな街もなく、丘陵地帯が延々と広がっています。州の主要産業は観光だそうで、セントルイスあたりになんとなく観光名所がありますが、たいしたことはありません。ルート66観光が結構な目玉となっているようで、ルート66を走ると中途半端な商業施設があらわれます。こういう施設をまわるのも面白いかもしれません。

 

では、ミズーリ州の東、セントルイスからスタートしましょう。

<セントルイス>

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1764年にフランス人が毛皮の取引所を設置したことからこの街は始まりました。当時はミシシッピ川が交通の中心でしたので、フランスから船でここまできたことになります。アメリカ建国当時は、アメリカは東海岸からこの辺りまででした。当時はセントルイスが西端だったのです。そしてそれより西は広大な未開拓値でした。

その後、アメリカはフランスのナポレオンからミシシッピ川西側の領土を購入します。アメリカの領土は一気に西に広がります。それまで貧困に喘いでいた人々は、こぞって西を目指しました。西に行けば自分の土地が持てるという夢、そしてゴールドラッシュの時期は、一攫千金を夢見てたくさんの人が西へと旅立っていったのです。この西へのゲートウェイがセントルイスとなったのです。現在も街には大きなゲートウェイ・モニュメントがあり、当時を思い起こさせます。

19世紀に入ると、デトロイトに次ぎ自動車工場がオープンし隆盛の時期を迎えますが、その後産業が空洞化し、現在は治安の悪い街となっています。

街は結構大きく、お金持ちはミズーリ州側に住んでいます。イースト・セントルイスと呼ばれるイリノイ州側は治安が悪いので近づかないほうがいいでしょう。ルート66は年代によりルートが変更されていますが、現在もHistric Old Route 66の標識が残っています。残念ながらシカゴと同様、古き良きアメリカの風景は既に破壊され、当時の面影は残っていません。

 

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Ted Frozen Custerd

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そんな治安の悪い街ながら、昔から続いているアイスクリーム・ショップがセントルイスにあります。テッドは、アイスクリーム発祥の店ともいわれている古い店です。現在も年間を通して営業しており、真冬でも行列ができています。メニューは豊富で、ただのアイスクリームだけでなく、数十種類のトッピング、数種類のフレーバーを掛け合わせて注文します。英語が苦手な場合かなり躊躇するのですが、がんばってオーダーしてみます。

私はベーシックなアイスクリームのチョコ味のスモールをオーダーしました。スモールといっても巨大です。ラージは夏でも食べきれないでしょう。ここのアイスクリームはとても固く、逆さまにしても落ちないそうです。味はよくあるアメリカのアイスでした。


Gardenway Motel

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セントルイスを過ぎると、だんだん60年代のアメリカの色が濃くなってきます。古き良きアメリカの原風景がそのまま残っているのです。セントルイスの郊外が終わり、穏やかな丘陵地帯が出現します。ミズーリ州を走るルート66は、別名ジェットコースター・ハイウェイと呼ばれ、かなりのアップダウンとカーブを繰り返します。そんな山の中にグレイ・サミット(Gray Summit)の街があります。といってもモーテルが数件あるだけで、街の機能があるとはいえません。ここにルート66では有名なガーデンウェイ・モーテルがあります。サインがかっこ良くアメリカ横断の雑誌や写真集によく載っているモーテルです。現在でも営業を続けており、希望すれば宿泊できますが、周りには何もなくちょっと寂しいかもしれません。

 

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Meramec River Bridge

スタントン(Stanton)には、有名なジェシー・ジェームスが隠れていたメラニックカバーンがあります。この鍾乳洞の看板は、ルート66を走っていると至る所で見られます。それほど観光ポイントとなっているようです。そして、カバーン周辺には、蝋人形館やジェシー・ジェームス博物館などのかなりどうでもいい観光名所も沢山ありました。これらはんば強引な観光名所はルート66上にはないのでスルーします。この街には、古い橋が残っています。かつてルート66にかかっていた橋です。古いデザインがいい感じでした。

 

Wagon Wheel Motel

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ルート66上には変な名前の街が多数存在します。おそらく、街を作るときに良い名前を思いつかなかったのか、住人がかつて住んでいた街の名前を付けたのでしょう。キューバ(Cuba)もそんな街のひとつです。ここには、古くから続くワゴン・ホイール・モーテルがあります。早速行ってみると、なんと建物は建て替えられ新しくなっていました。かつての面影を残すのはサインのみでした。ルート66では、このように商売として成り立たなくなったモーテルやレストランが容赦なく解体されてしまいます。それは特に都市部で起こっていて、シカゴやセントルイスには60年代のルート66はほとんど残っていません。

私にはキューバのような田舎町でもリコンストラクションが行われていることにショックを受けました。最近では、かつてのルート66の遺構を保存する動きがでてきていますが、ミズーリ州ではまだ行われていないようで、このような残念な光景は他でも見受けられました。

 

Hotel Edwin Long

ローラ(Rolla)という街は、セントルイス以来大きな街ですが、人口は18000人だそうです。この街は大学の街です。ミズーリ工科大学があり、その学生と関連の商売で成り立っています。かつてはルート66の宿場町として栄えたそうですが、今は完全に学生の街と化しています。そんな街にかつて有名だったホテルが残っています。

 

Uptown Theatre

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かつてローラのダウンタウンだった場所は、今は寂れていて人影はありません。人がいないので治安が悪くもなりません。ほぼゴーストタウン化してしまった昔の宿場町だけが残っていました。そんなダウンタウンはかつては栄えていたのでしょう。街には劇場があり、毎夜演劇が上演されていたはずです。人口が減って、劇場は映画館となり、それでも採算が合わなくなったのだと思います。そんな劇場がアップタウン劇場です。今は当然営業されておらず、かといって建物が解体されるわけでもなく寂しく放置されていました。中をのぞくと、最後の営業は映画館だったことがわかります。チケットブースもロビーも残っていますが、再オープンの可能性は低そうでした。

 

 

<スプリングフィールド>

この街は、南北戦争の激戦地だったそうです。現在も街の至る所に戦争の名前が地名として残っています。1927年にはシカゴとロサンゼルスを結ぶ国道が通り、1970年にはセントルイスとサンフランシスコを結ぶ鉄道が通り街は栄えました。

国道は、元々セントルイスとスプリングフィールドを結んでいた道路をベースに東西に拡張されました。これがルート66です。なので、スプリングフィールドは、ルート66発祥の地としても有名です。

この街の産業は何でしょう?15万人を有する大きな街ですが、産業は中規模商工業だそうです。あとは宗教関係の施設がおおくかなりの雇用があるようです。宗教大学もおおく街は潤っているようにみえました。

 

Carthage Town Square

アメリカの理想の街といわれるカーセージ。この街は、ルート66上にある皆が思う「アメリカ」です。一説によると、映画「Back to the Future」のスタッフがここをロケハンして、映画の中に出てくる50年代後半の街を再現したそうです。

街の中心に行くと確かに映画に出てきたような、どこか懐かしい風景です。タウンスクエアの真ん中には時計台があり、スクエアの角にはカフェがあります。アメリカのどこにでもありそうでない理想の街がここにあるのです。そして住人たちはこの街を大切にしていました。

 

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 私たちは早速カフェに入ってみました。このあたりは住人の90%以上が白人です。東洋人は珍しいはずですが、他の人と同じように話しかけ朝食を作ってくれました。美味しい卵料理とアメリカらしいフレーバーコーヒーは、冬の旅行者にとても暖まるものでした。店の人に映画の舞台になったことを聞いてみると、それは間違いだと言っていました。カナダ辺りの映画ファンが広めた噂だよ、と言っていましたが、映画と店の位置関係までもが一緒なので偶然ではないと思います。店の人は知らないだけで、実は美術チームがロケハンに来ていたのでしょう。そう思いたい程、映画にそっくりな街でした。ちなみに映画「Back to the Future」のタウンスクエアはロサンゼルスのユニバーサルスタジオのオープンセットです。私は実際に撮影が行われたセットにも行ったことがありますが、カーセージととてもよく似ていました。

 

Drive In Theater

カーセージにはもうひとつ素敵なポイントがあります。それは現在も営業しているドライブイン・シアターです。冬は営業はお休みですが、春から秋にかけては映画を上映しています。ひとり6ドルでした。そして、車を駐車スペースに止めFMラジオをあわせると、映画の音声がステレオで社内に響くのです。かつては全米に広まったデートスポットであるドライブイン・シアター。現在はその殆どがクローズしています。映画館の環境が良くなったので皆がシネコンに行くようになってしまったのです。そして、ドライブイン・シアターでは、低俗な作品が上映されるようになり、お客は遠のいていったのです。

このドライブイン・シアターでは、どんな映画が上映されているのかわかりませんが、近くに映画館がないようですし、とても奇麗だったのできっとメジャー映画が上映され、夏には沢山の家族連れで賑わうのだと思います。こういう光景も古き良きアメリカがそのまま残っている街だなあと感じました。

 

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Diary from the traveler -----

ミズーリ州を走り抜け記憶に残ったこと、それは、とても心の豊かな人々がひっそりと暮らしている風景です。それほど大きな産業もなく決して大金持ちではない人々が、一見地味ですがお金では買えない豊かな心を宿しているのです。そして、近所の人々とカフェで話をして助け合う姿は、なんだか羨ましくなりました。日本では、マスコミはアメリカの悪い部分ばかり報道し、このような地味なことは伝えません。この偏った報道によりおおくの日本人は「アメリカ」を誤解しているのだと思います。そして偏った資本主義の概念ばかりをまねた結果が今の日本です。アメリカの良い部分に学ばず、悪い部分ばかり模倣してしまった日本。日本人としてちょっと悲しくなりました。

ミズーリ州の住人は敬虔なクリスチャンです。日曜日には必ず教会に行くそうです。どんな小さな街にも立派な教会が建っていました。キリスト教系の新しい宗教も活発です。スプリングフィールドにはアッセンブリー・オブ・ゴッドという宗教の本部もあります。きっとこのような辺鄙な場所で農業を営む人には宗教が必要なのでしょう。彼らは単に保守的なのではなく、大きな変化を望まない朴訥とした市民だったのです。

 

次回は、「オズの魔法使い」の舞台となったカンザス州を抜け牧畜王国オクラホマ州に入ります。

お楽しみに!


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コメント 10

toshi

スケールの大きな旅ですね。
by toshi (2010-01-10 11:14) 

むちゃ

「Back to the Future」って、先日と~っても久しぶりに観たばかりです。
あんな街並なんですね~大切にしたい気持ちが分かります。
テッドのアイスも気になります。食べてみたいなぁ~♪
by むちゃ (2010-01-11 04:17) 

Traveler

toshiさん、こんにちは。
ほぼ大陸横断ですからね。
by Traveler (2010-01-11 10:29) 

Traveler

むちゃさん、こんにちは。
テッドのアイスはとても硬かったです。でも美味しかったですよ。
by Traveler (2010-01-11 10:30) 

noric

今年もよろしくお願いします。

by noric (2010-01-11 11:08) 

sak

R66
こんな感じで走ってみたいけど
夢で終わっちゃうだろうなぁ...
でも60年代のアメリカの雰囲気の街並みや
Back to the Futureの街、実際に見たいなぁ
by sak (2010-01-11 13:06) 

Traveler

noricさん、今年も宜しくお願いします。
by Traveler (2010-01-12 23:45) 

Traveler

sakさん、こんにちは。
行くと結構簡単ですよ。
旅費は安く、2〜3回に分ければゆっくり観光できます。
by Traveler (2010-01-12 23:46) 

かおり

「Back to the Future」のモデルになったのであろうカーセージという街。
きっと私のイメージするアメリカそのものなんでしょうねー♥
こんな街並みがリアルに続いているところを見てみたいです♪
この辺りは比較的雪が少なかったようですね^^
by かおり (2010-01-15 00:21) 

Traveler

かおりさん、こんにちは。
皆がイメージする、「なんとなく懐かしいアメリカ」。こういう町がこの辺りにあります。のんびりと生活する人々は決して大金持ちではありませんが、心がRichでしたよ。
by Traveler (2010-01-19 11:08) 

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