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東海道新幹線 の Pros & Cons [diary]

 

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 最近、いろいろと話題の新幹線。その中でも一番歴史が古く利用客がおおい東海道新幹線について記そうと思います。といっても、車両や利用方法などに関しては様々な書籍やブログで語り尽くされているので、ここでは「旅行の達人」流、ちょっと贅沢な旅行者にとっての新幹線のサービスについてPros(良いところ)とCons(悪いところ)を見ていきましょう。

Pros

正確な運行システム

世界中の交通システムで日本ほどきちんとスケジュール通りに運行されている鉄道はないと思います。それほどに素晴らしいです。特にJR東海の新幹線は、超特急にもかかわらず過密ダイヤに対応し、分単位での正確さ、これに勝てるシステムはないでしょう。JR東海は、運行システム作りに相当な研究と費用を投入してきたはずです。既に古い線路設備を維持しつつ、レールのカントを調節したり、使う車両の性能を揃えるなどして安全で正確な運行を行っています。

運行に関しては、これを見るためにイギリスからツアーが組まれるほど、世界の鉄道ファンから興味を持たれており、日々起こる気象の変化までもシステムに取り入れ進化するシステムには脱帽させられます。

 

きめ細やかな車内サービス

外国から来るとちょっと丁寧すぎますが、車内の電光表示やアナウンスは臨機応変で旅慣れない人でも安心できるよう心配りが行き届いています。

グリーン車では、おしぼりサービスが素晴らしいです。駅では時に汗をかいたり乗り遅れそうになって焦ったりするケースがありますが、席に着くと直ぐにおしぼりが出てきてホッとします。さらにグリーン車には、専門の雑誌が備え付けられていて嬉しいです。カートによるミールサービスも欲しい物があって気が利いています。沢山の客をさばいているのに、いつも笑顔の販売員にはいつも感謝させられます。

このように日本らしい心配りの文化を最新の新幹線に取り入れているのは、日本人で良かったなあと思える瞬間です。

 

Cons

チケットの購入

これは海外の鉄道も同じなのですが、チケットを購入するのが不便です。駅で買う場合は、基本ならばなくてはいけません。ウィークエンドの「みどりの窓口」は、いつも長蛇の列で、うんざりします。

ここ数年で駅の券売機の性能が格段にアップし、列の最後尾に並ばなくてよい選択肢ができたのは嬉しい限りです。ただ、JR各社ごとにシステムが違い、インターフェイスが異なるのはどうにかしてほしいです。そして使いにくい。1ルートの購入は簡単ですが複雑なルートのチケット購入は、システムを熟知していないと使いこなせません。

最近は、ネットでチケットを購入できるようになりました。これは素晴らしいです。しかし、現時点では複雑なルートのチケットは購入できません。そしてアクセスが集中するとエラーが頻発します。ネット販売もJR各社ごとに別々のサイトがあり、決済方法などが異なります。これもとても不便なんです。

例えば、JR東日本のサイトで品川発 - 大津着のチケットを購入しようと思います。まず、この区間を利用するほとんどの人は新幹線を利用するはずです。説明通り購入手続きを進めていくと、何度試みても特急券と乗車券を購入することはできません。これはシステム設定のミスです。結局、東京 - 京都と京都 - 大津のチケットを別々に買えば解決するのですが、そのような指示や提案は全く表示されません。地図や路線図を完全に把握し、乗車券のルールを知らないとチケットは買えないのです。この場合、品川から西に進んで、大津を通り過ぎ、京都で新幹線を降り、在来線で2駅東に行くのが問題です。この問題、瞬時に理解できる人が世の中にどのくらいいるのでしょうか。

そして、往復チケットを購入する場合は、チケットはJR東日本圏内の駅でチケットをピックアップする必要があります。航空券のようにとりあえず行きだけチケットを入手し、帰りに駅でチケットを入手できません。京都でチケットをピックアップできるのは、JR東海かJR西日本のシステムでチケットを予約した人のみなんです。

JR各社の仲が悪いとか、システムが別々だという理由は利用客にとってはどうでもよいことです。何故先進国の日本でこのような不体裁のサービスを続けているのか理解に苦しみます。

 

駅の設備

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決定的に駄目なのは、駅です。ヨーロッパの鉄道駅は、新しい物も古い物も町のランドマークとなっています。ユニバーサルデザインを積極的に取り入れ、誰にとっても使いやすいサインと設備が整っています。それに比べると新幹線の駅はとても貧弱です。かつての日本の駅はもっと素晴らしかったです。しかし、その後民営化されてから、コスト至上主義に陥り駅のデザインやユニバーサルデザインは忘れ去られてしまいました。旅行は古今東西、人生の思い出となるものです。是非ヨーロッパの駅を見習ってほしいです。

新幹線の駅で直ぐにでも設置して貰いたいのは、ラウンジです。右の写真は、パリのユーロスター客用ラウンジです。このようにユーロスターには素晴らしいラウンジが用意されています。残念ながら新幹線にはこのような場所はありません。

駅に早く着いた場合、待つ場所に困ることがあります。特にVIPや体の不自由な人にとって、お金を多く払っても使いたいのがラウンジです。新幹線が到着するまでのんびりとできる場所、すいていて綺麗でおおきなトイレがある場所は、女性にとっても必要な場所だと思います。

 

優雅な旅

新幹線を頻繁に利用する客のおおくは、ビジネスマンでしょう。東京と大阪を何度も往復する人々です。彼らは、とにかく早く移動できればいいのです。でも、そうではない人もたくさんいることをJRは理解するべきです。例えば大阪 - 札幌を走るトワイライト・エクスプレスや東京 - 札幌を走るカシオペアは高い人気を誇ります。これら乗客は、列車の旅を楽しんでいるのです。

このように優雅な旅をしたい客から見ると新幹線はなんとも貧相です。運行密度を上げるためという理由で、N700系以外の車両は東海道新幹線からは締め出されてしまいます。運行第一、利益第一なのは企業として理解できますが、旅人からしてみると、時に500系に出会ったりするのが旅の楽しみでした。食堂車も同じです。食堂車を連結するよりも座席にしたほうが儲かるのでしょう。しかし私が子供の頃、両親と一緒に乗った新幹線で立ち寄った食堂車は今でも素晴らしい思い出として心に刻まれています。現代の子供はそのような体験ができないのが残念です。

 

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 ユーロスターの食堂車。席にもミールサービスが付いていますが、こういう車両での食事も思い出に残ります。

ここ数年、観光省が設置され積極的に外国人観光客を誘致しようと必死になっています。この件に関してはおおくの問題があり、個人的には税金の無駄使いだと思っています。もし本腰を入れるなら、ベーシックな部分の改革が必要です。しかし役所は表面の問題やコストのかからない小手先改革ばかり行っています。土台をしっかり作らないで壁の素材にばかり気を取られているようにしか見えません。

JRも利益追求主義に陥り、心の豊かさを忘れてしまいました。とにかく質素な駅を作り、効率をMAXにするために多くのゆとりと心を置き去りにしてしまいました。

その結果、ここであげたように素晴らしい運行システムと利益効率を手に入れ、目に見えない心を捨て去りました。

 

果たしてこれが、将来の日本、交通システムにどのような影響を与えるのでしょう?私には、運行が多少正確でなくても人の心が通った文化のほうが魅力的に見えます。

先日、旅行中にオランダで起こった中距離列車の運休、私たちは途中駅で足止めです。そんなとき、見知らぬオランダ人が私たちに声をかけてくれ、いろいろとケアしてくれました。こういったことも旅の良い思い出です。勿論ケジュール通りの運行が良いに決まっていますが、利益の追求と心ある旅という相反する目標においてどのあたりが落としどころなのか探る必要があると思います。

 

特に日本を代表するSHINKANSENでは、海外の観光客に旅の思い出となるような素晴らしいサービスを提供してあげたいと思います。個人的には、駅構内に挽き立てコーヒーが売っていないのは致命的だと思います。私が知る限り東海道新幹線には品川駅のスターバックスしかないです。あの不味い缶コーヒー文化は日本オリジナルです。コーヒーの味にうるさい外国人には受け入れがたいのです。

 

いつの日か、ユーロスターを上回る快適な旅が日本でも実現することを夢見て。


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コメント 18

gyaro

niceありがとうございました~^^
by gyaro (2010-03-01 12:17) 

mouse1948

Travelerさん、初めまして、こんにちわ。
お越し下さり、nice!をありがとうございます。
フランス新幹線、TGVに乗ったことがあります。
by mouse1948 (2010-03-01 13:03) 

うさぎ

訪問ありがとうございました(*^^)v
by うさぎ (2010-03-01 15:33) 

whitered

Consの優雅な旅のご意見、同感です。食堂車もなくなり、さらに寝台特急もほとんどが消滅して、淋しい限りです。速いだけが旅の醍醐味ではありません。もっと精神的なものが必要ですね。新幹線に乗るのは、ビジネスマンだけではないのですから、優しい情緒のある乗り物にしてほしいですね。
by whitered (2010-03-01 16:33) 

selybar

ご訪問いただき、nice!をありがとうございました。
SINKANSENについて同感です。
美味しいコーヒーのくだりで、昔の駅弁の焼き物のお茶に二煎目のお湯だけ入れてもらった事を思い出しました。
by selybar (2010-03-03 00:31) 

カオリン

初めまして、先日はご訪問いただきましてありがとうございました。m(__)m
すごくためになる記事ですね。
日本の新幹線の運行システムはすごいのですが、それに比べると駅の施設はイマイチのように感じました。
by カオリン (2010-03-03 19:17) 

ナツパパ

新幹線には、良くも悪くもJR東海の地方カラーが出ているように思います。
着実で地道な一方、たしかに夢やくつろぎは少ないですね。
今や特定の時期をのぞき、新幹線のチケットはいつでも予約できるのに、
相変わらず3-2の普通席は厳しいものがあります。
by ナツパパ (2010-03-07 19:52) 

サットン

架線事故にN700の故障、最近の新幹線ちょっと気になりますね。
ユーロスターには乗ったことはありませんが、TGVの窮屈な座席には閉口した記憶があります。
by サットン (2010-03-09 17:56) 

Traveler

gyaroさん、ご訪問ありがとうございました。
by Traveler (2010-03-19 22:57) 

Traveler

mouse1948さん、ご訪問ありがとうございました。
by Traveler (2010-03-19 22:57) 

Traveler

うさぎさん、ご訪問ありがとうございました。
by Traveler (2010-03-19 22:59) 

Traveler

whiteredさん、こんにちは。
JRが日本人の心をPoorにしてしまっている気がします。
頑張って欲しいですね。
by Traveler (2010-03-19 23:00) 

Traveler

selybarさん、こんにちは。
心の豊かさを求めても良い時代だと思いますが...
アメリカ追求を止めヨーロッパ型の心の豊かさを取り入れて欲しいものですね。
by Traveler (2010-03-19 23:01) 

Traveler

カオリンさん、こんにちは。
とりあえずトイレをなんとかしてほしいですね。
by Traveler (2010-03-19 23:02) 

Traveler

ナツパパさん、こんにちは。
JRは、ハードは世界トップレベル、ソフトは世界でワーストレベルです。
by Traveler (2010-03-19 23:03) 

Traveler

サットンさん、こんにちは。
JRには「心」を持って欲しいですね。
by Traveler (2010-03-19 23:03) 

SAKANAKANE

仰る通りですね。
ビジネス利用、安く済ませたい人用と、旅を楽しみたい人用には、それぞれに別のサービスが必要でしょうね。
飛行機とは違って、陸輸システムには、そうしたキメ細かなサービスは、発想次第でいくらでも可能だと思うんですが。
by SAKANAKANE (2010-03-21 21:20) 

Traveler

SAKANAKANEさん、こんにちは。
最近、東京駅にドリップコーヒーの店がオープンしました。
こういう店の展開をもっと行って欲しいですね。
by Traveler (2010-04-10 10:12) 

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