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ルート66 2008 3/3 [>route 66]

ルート66の旅、今回が最終回です。2008年は、ルート66の最西端サンタモニカからアリゾナ州フラッグスタッフまでの区間を旅しました。この区間は、ルート66を通るおおくの観光客が選択しています。理由は、ロサンゼルスを起点として、比較的簡単に往復できること、そして古き良きアメリカの景色が集中して残っていること、近くにラスベガスやグランドキャニオンといった有名観光地があるので、そことセットで行けることなどがあげられます。

前回は、サンタモニカからニューベリー・スプリングスのバグダッド・カフェまでを紹介したので、今回はニューベリー・スプリングスからフラッグスタッフまでを記します。

<ニューベリー・スプリングス Newberry Springs >
このあたりは砂漠なので、普段は殆ど雨が降らないのですが、私が行ったときは雷を伴う豪雨が降っていました。そして、バグダッド・カフェに到着すると、カフェが営業していませんでした。でも店の前に車を止め店内をのぞくと、店員さんが出てきて、先ほどの雷で停電になったと嘆いていました。店はオープンしているので中にはいると、店伝直後だったようでまだコーヒーが保温機の上で暖かい状態でした。申し訳ないのでそのぬるいコーヒーを頂き、しばしの休息です。店には、ここを訪れた人たちのダイアリーが残されています。以前来たときに書いておいたメモを探してみました。そして新たに記録を残しました。そんなことをしていると電気が復活。店員さんは、すぐにジュークボックスにお金を入れ「Calling You」を流してくれました。こういう気配りがアメリカの田舎旅行を楽しくさせてくれます。

バグダッド・カフェを出発して、旧ルート66を東に向かうと、ガソリンが少なくなっていることがわかりました。そこで、近くのガソリンスタンドに立ち寄ると、例の豪雨でまだ停電しています。当然ポンプが動かないので給油はできません。仕方がないので、次の給油所まで走ることになりました。

rt66-35.jpg

ここからが恐ろしい体験の始まりです。
次の街はカリフォルニア州とアリゾナ州の境にあるニードルズという街です。そこまでは約80マイルあります。車のトリップコンピュータでは、残りのガソリンで60マイル走れそうです。よって、ニードルズで給油する前にガソリンが尽きることになります。でも、途中にはいくつかの街があるので、そこでガソリンスタンドを探すつもりでした。
しかし、途中の街は、家が1軒もないようなゴーストタウンでした。かつてはきっと街があったのでしょう。しかし高速道路の開通で街は消滅し地図に名前だけが残っているようでした。あとはひたすら砂漠が続きます。まずいなあと思っているのですが、全く街がないのです。あぁ、困った。

いよいよガソリンが尽きてきました。車のコンピュータが警告してきます。ラッキーなことに、あと数マイルで休憩所らしきものが見えてきました。車も結構止まっています。なんとかあそこまで行けばきっとガソリンスタンドがあるという期待で、燃費を良くしながらたどり着いたら、そこはただのトイレでした。トイレ休憩している人に聞いてみても、殆どが観光客で、ガソリンスタンドの場所なんて知りません。そこで、トラックの運転手に聞いてみると、この先のJavaという小さな街にスタンドがあると教えてくれました。確かに休憩所からは東に蜃気楼のように数本の木が立っているのが見えます。きっとあれがJavaの街なのでしょう。

とりあえず、ソロソロと車を発進させました。そして遠くに見える蜃気楼の街に向かったのです。その街は蜃気楼ではなく実在していました。砂漠の中に、ガソリンスタンドと、その経営者の家があるだけの街、Java。ガソリンは殆ど底をついていました。とんでもない値段のガソリンでしたが、満タンにして出発です。ここにスタンドがなかったことを考えるとぞっとします。皆さんもRt40沿いのルート66を走るときはガソリンを満タンにしておくことをお勧めします。

<ニードルズ Needles>
ここは、グランドキャニオンやフーバーダムを通ったコロラド川の下流に開けた街です。水の力は凄く、この街の周り一帯は砂漠なのに、ここだけ木々が沢山はえています。街自体はこの近辺では結構大きいですが、なんだか寂しいところでした。街の産業は、おそらくケミカル工場があったので、工場で成り立っていると思いますが、他にはなにもなく、ちょっと立ち寄りにくい感じでした。

rt66-33.jpg

<オートマン Oatman >
ニードルズでは、旧ルート66は、途中で行き止まりとなります。かつてはコロラド川に橋が架かっていましたが、今はその橋は工場のパイプラインになっています。一般車は、RT40に乗り、川を越えます。川が州境になっていますので橋を越えるとアリゾナ州です。アリゾナに入って直ぐに旧道が復活します。バーストーからここまでルート66と平行して走ってきた高速道路40号線は、ここから分かれてしまいます。旧道は、山越えをして次の街キングマンに向かいます。新しいRt40は、山脈を迂回しながらキングマンに向かいます。

オートマンへの道は寂しく険しいです。夜は走行を避けるべきです。でもこの町に行く価値はあります。旧道を走っていくと、見たことのないような形の山が見えてきます。その山を目指して走ると、尖った鉛筆のような山の裾野を迂回します。この辺りからは絶景ポイントの連続です。峠道を走っていくと、驚くような光景が続きます。そして、かつてゴールドラッシュの頃掘られた金を探す無数の穴が岸壁に開いているのです。なんだか西部劇の時代に迷い込んだような錯覚になりました。
そして、そんな山の中に、ポツンとオートマンという街が存在します。この街、これまた時代に取り残されたような西部劇の街なのです。数百メートルのメインストリートには、西部劇で見たことのあるSALOONやホテルが建っています。驚いたのは、こんな古い町に人が住んでいるのです。私たちは、車を止め、クラーク・ゲーブルが新婚旅行の時に泊まったホテルを見学しました。そして近くのSALOONへ。そこには、テンガロン・ハットを被った地元の人がカウンターで酒を飲んでいました。まるで西部劇のようです。外物の我々は、ちょっと緊張しながら飲みものをオーダーしました。すると、ひとりの老人が、ごちそうすると言い出したのです。「Welcome to Oatman !」と店の人が乾杯します。緊張が解けたというか、映画の1シーンのようで驚きました。その後は、1時間以上彼ら地元の人々と談笑して分かれました。

オートマンは、時間の流れから取り残された街。そこには、まるで亡霊のような住人が暮らしていて、来る人を歓迎してくれました。

rt66-32.jpg

<キングマン Kingman >
キングマンは、かつてはルート66の宿場町として栄え、現在はアメリカを東西に走る高速道路93号線とラスベガスを結ぶ要として栄えています。この街にはほとんどのモーテルチェーンが宿を構えていて、沢山のガソリンスタンドとレストランが並んでいます。ルート66を旅するならこの街に一泊するのもいいでしょう。ロサンゼルスからラスベガスへレンタカーで向かう人は、この街経由で旅するとアメリカドライブが楽しめます。
キングマンには、当然ルート66ミュージアムがあります。ここには、かつてルート66が栄えていた頃の写真などが展示されています。

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<セリグマン Seligman >
キングマンからセリグマンまでのルート66は、大きく北に迂回します。かつては、キングマンの東に山があり道路を通すことが不可能だったからです。現在は高速道路40号線が走っているので、この2つの街は数十分で行き来できますが、昔は2時間近く迂回していたのです。旧道ルート66は、高速道路40号線になり、かつての面影は多くの部分で失われたのですが、ここは、かつての道がそのまま残っている貴重な場所でもあります。
キングマンからセリグマンまでは、のんびり旧道を走ることをお勧めします。ここには、よく写真で見かけるルート66が集中して残っています。そして忘れ去られた街がポツンと残っています。

<ウィリアムズ Williams >
ウィリアムズも、また古き良きアメリカが残る街です。ただし、この街はグランドキャニオンへのゲートウェイとなるので、セリグマンほど寂れていません。街の両端にはいくつもモーテルが並んでいます。グランドキャニオンが混んでいるときはこの町で宿泊する人がかなりいるのです。でもメインストリートは懐かしい雰囲気が漂っています。おそらく街が開発を拒んでいるのでしょう。古いアメリカが残るウィリアムズは、観光客にとって宿泊しやすい環境になっています。

<フラッグスタッフ Flagstaff >
ウィリアムズから高速道路40号線を1時間ほど走るとフラッグスタッフという街に着きます。ウィリアムズの隣町です。そのくらいこのあたりは何もありません。ウィリアムズとフラッグスタッフの間にあったルート66は高速道路40号線になったので旧道は存在しません。ウィリアムズ辺りまでは砂漠だったのですが、それからフラッグスタッフまで急に森となります。周りの景色が一変するのです。なぜかというとこの辺りは標高が高く、森林地帯になるからだそうです。うっそうとした森が果てしなく続きます。
そんな森の中にフラッグスタッフという街があります。周囲数百キロの中で一番大きい町です。大きいといっても車で20分もあれば一周できてしまうくらいの規模です。ここは、高速道路40号線の宿場町として、そして大学の街として栄えています。
ルート66を東に向かう場合、この先は高速道路40号線となっていて、次の大きな街はまる1日走ったアルバカーキです。よって旧道ルート66を旅する人や高速道路40号線を走る運送者のほとんどは、この街で一泊します。
この町で面白いのは、陸の孤島なのにやたら鉄道が活発なことです。Santa Fe 鉄道が山手線並に走っているのです。といっても旅客ではなく貨物です。大きな先頭車両が2台ついた長い貨物列車が頻繁に走っているのです。列車が街に入るときは汽笛を鳴らすという法律があるそうで、フラッグスタッフの街の際にあるモーテルに泊まると、一晩中警笛の音がなっていることになります。もし警笛音が気になる場合は、鉄道近くのモーテルは避けるべきです。
フラッグスタッフは、まあまあ大きい街ですが、一流のホテルやレストランはありません。ホテルはモーテルのチェーンしかないのでご注意を。あと食事はかなりひどいですが、駅前に日本食があります。このあたりでは貴重ですし味は悪くないのでお勧めです。

サンフランシスコからフラッグスタッフまでの主要な街を3回に渡って紹介してきました。如何でしたか?
ルート66は、ロサンゼルスからシカゴまでの長い道です。現在でも車で最低5日くらいはかかりますので、全線走るには、体力と気力と勇気が必要です。でも今回紹介した路線は観光客が多いですし比較的簡単に走ることができます。
もしアメリカドライブを計画する時には、このルートを思い出して下さい。そしてこのブログが何らかお役に立てば嬉しいです。
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飛騨の忍者 ぼぼ影

アメリカにも過疎があるのですね。

by 飛騨の忍者 ぼぼ影 (2008-08-17 16:00) 

toshi

地図に名前だけのこっているゴーストタウン、スゴイ体験ですね。
by toshi (2008-08-17 16:46) 

whitered

Javaの町が蜃気楼でなくて良かったですね。あのコーリング・ユーが現地で聞けるなんて。素晴らしいですね。アメリカは旅行したいとは思いませんが、ルート66は旅してみたいです。バッハのクラヴィーァ9番を弾いていたのも、このお店だったのでしょうか。「郵便配達は二度ベルを鳴らす」と間違っているのかもしれませんが。
by whitered (2008-08-17 17:52) 

mimimomo

こんばんは^^
シスコからヨセミテへ走る道も広大なノッパラと言う感じのところ・・・
ここでガス欠になったら・・・って、実は数日前のブログに書いたのでした^^
ヨーロッパを車で旅しているとき、スイスからイタリアへの山道であわやガソリンが切れる・・・と言うことを体験したことがあります。
やはりその時も山の中の一軒家と言うスタンドがあり、ホット胸をなでおろしましたよ^^
かなり高かったですね(--;)
by mimimomo (2008-08-17 19:12) 

かおり

遡ってまとめ読みさせてもらいました♪
今回はオシゴトだったのですね~?
でもやっぱり楽しそう^^
バグダットカフェで聴く「Calling You」は最高でしょうね!
で、やっぱりコーヒーマシンは壊れてなかったようで(笑)
いつかはルート66の旅をしてみたいです★
by かおり (2008-08-17 20:40) 

Traveler

ぼぼ影 さん、こんにちは。
詳しくは映画「カーズ」をご覧ください。
ルート66のことがよく描かれています。
by Traveler (2008-08-17 20:58) 

Traveler

toshiさん、こんにちは。
このあたりは、本物のゴーストタウンが点在しています。
見る価値あります。ガソリンがあれば...
by Traveler (2008-08-17 20:59) 

Traveler

whiteredさん、こんにちは。
バグダッド・カフェは、かなりボロボロだったので早めに行ったほうがいいかも、です。
by Traveler (2008-08-17 21:00) 

Traveler

mimimomoさん、こんにちは。
ガソリンがなくなる危機は、海外では時々ありますね。
私は人生で2回目の経験でした。
by Traveler (2008-08-17 21:02) 

Traveler

かおりさん、こんにちは。
今回は仕事でした。全部読んでいただきありがとうございました。
by Traveler (2008-08-17 21:02) 

One-for-you

ああ! 素晴らしい記事をありがとうございます。

I-101を南北走破したいと考えてましたが、今回のルートをトラックさせて頂きR-66の方が、アメリカっぽいですね。。。先般アリゾナ行ってきたばかりですので、、、思い入れはR-66ですね。

「I」より「R」なドライブ旅・・・実行は何年も先になりそうですが、どうでしょう、写真取らずに、運転しながら景色を楽しむ旅なら1泊か2泊でなんとかなるかもしれませんね。。。LAXのWall-Marl当たりでガソリンタンク買って、携行したほうが「安心」みたいですね。。。ナビよりガスタンクですね!W

蜃気楼でなくて良かったです。

んん・・・30日あればTryしてみたい、シアトル→(I-101)→サンディエゴ→LA戻り→(R-66)→シカゴ→(I-75)→キーウエスト(迄は、無理かなぁ・・・)アトランタ・オーランドは、ゆっくりしたいですし。

次Travel 期待申し上げます。

飛行機とInterstate中心で動いている現在は「夢」の旅です・・・貴ブログにて楽しませて頂けまして Appreciate!


by One-for-you (2008-08-17 21:56) 

アマカワ

こんばんは、はじめまして。
古きよきアメリカが好きなので、すごくイイ写真ばかりで良かったです。

が……過疎ですか。Travelerさんが無事でよかったですが、ヒヤヒヤしますね。上の方のコメントじゃないですが、本当蜃気楼じゃなくて良かったです。

これからも、素晴らしい記事と写真に期待させていただきます(そして、ほんのちょっとスリルも!)。

失礼しました!
by アマカワ (2008-08-18 00:46) 

SAKANAKANE

ガス欠の危機、ホントに良かったですね。
オートマンの写真は、本当に映画の中のようで、こんな所に行ってみたいですね。
アメリカを舞台にした小説によく出てくるゴースト・タウン、少しだけ実感できたような気がします。
by SAKANAKANE (2008-08-18 02:07) 

mee

ルート66ミュージアム☆行ってみたいですっ^^!
ルート66。。。長い道。。。
かなり気合と根性が入りそうですが、それもまた旅ならではでしょうねっ^^
by mee (2008-08-18 16:37) 

ひろたん

映画の中の世界
いってみたいよ~
by ひろたん (2008-08-18 16:38) 

DQN吏員

Travelerさん、こんばんは。

アメリカの空って広いんですね。
私もいつか、行ってみたいです。
by DQN吏員 (2008-08-18 23:02) 

pucci

アメリカのバーで!
カウンターで一人飲んでみたいです!
たんに飲みたいだけですが(笑)
ほんと映画のワンシーンによくありますよね~
by pucci (2008-08-24 17:34) 

ネオ・アッキー

 Travelerさんこんばんは。
海外では日本では有り得ないような危機に遭遇する事もありますね。 砂漠のゴーストタウンの中でガソリンが少ないという危機的状況...  緊張しますね。それが海外旅行の醍醐味と言えるかも知れません。
by ネオ・アッキー (2008-08-24 20:15) 

ミク

店員さんが「Calling You」をかけてくれたり
見知らぬ人がご馳走してくれた1杯のお酒から
会話が弾んだり・・・アメリカらしい旅のワンシーンですね♪
ガソリンは本当に焦りますね~。
by ミク (2008-08-25 18:52) 

Traveler

One-for-youさん、コメントありがとうございます。
IよりR、確かにそうですね。のんびり旅することの素晴らしさが伝わっていれば嬉しいです。
by Traveler (2008-08-30 13:40) 

Traveler

アマカワさん、こんにちは。
アメリカドライブの時は、できるだけこまめにガソリンをチェックする。これが重要ですね。
次回の記事をお楽しみに!
by Traveler (2008-08-30 13:42) 

Traveler

SAKANAKANEさん、こんにちは。
TV番組&DVD「ルート66とアメリカ大自然」でオートマンが紹介されますよ。
by Traveler (2008-08-30 13:43) 

Traveler

meeさん、こんにちは。
この旅、実は簡単ですし、気軽にアクセスできます。
免許さえあれば誰でも体験できる旅です。
by Traveler (2008-08-30 13:44) 

Traveler

ひろたんさん、こんにちは。
1週間あれば十分楽しめますよ。時間ができたら是非行ってみてくださいね。
by Traveler (2008-08-30 13:45) 

Traveler

DQN吏員さん、こんにちは。
確かに空は広かったです。どこまでも続いていました。
by Traveler (2008-08-30 13:46) 

Traveler

pucciさん、こんにちは。
飲酒運転はアメリカでも厳しく取り締まられるので、気をつけてください(笑)。
by Traveler (2008-08-30 13:47) 

Traveler

ネオ・アッキーさん、こんにちは。
今では、良い思い出ですが、そのときは緊迫しましたよー。
by Traveler (2008-08-30 13:48) 

Traveler

ミクさん、こんにちは。
旅行の醍醐味は、観光地を回ることではなく、人とのふれあいです。
どうも日本人観光客は、目的を見失っているかたがおおいようで...


by Traveler (2008-08-30 13:49) 

caravan red

西から東にroute66をトレースして、今Elk City にいます。出発前から、そして旅の間も、日本語ではこのページが一番まとまっていて、情報いただくことができています。ありがとうございます。
by caravan red (2014-05-05 21:34) 

Traveler

caravan redさん、嬉しいです。
Elk Cityから東は暫く人気のない平野ですね。竜巻に気をつけて安全な旅をしてください。
by Traveler (2014-05-07 09:24) 

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